長期優良住宅の優遇措置は、耐震性、耐久性、可変性等に優れ、適切な維持保全が確保される認定長期優良住宅の普及のため定められたものです。札幌市でもこの制度を採用していて、多くの優遇措置が受けられます。以下に詳しく解説していきます。
まず、1つ目の優遇措置として、固定資産税の減額があります。「令和6年3月31日までに新築されたもので、一定の要件を満たす住宅(併用住宅については建物の延床面積に対する居住部分の割合が2分の1以上のもの)については、新築後一定期間、固定資産税が減額される」というものです。具体的には、床面積が戸建て50平方メートル以上120平方メートル以下、集合住宅は40平方メートル以上120平方メートル以下の場合は、税額の2分の1となります。また、120平方メートル超え280平方メートル以下の場合は、120平方メートル相当分の税額の2分の1となります。
2つ目に所得税減税では、以下のような減税措置が受けられます。新築住宅買取再販では、居住年が令和4年から令和5年までの場合、住宅ローン借入限度額は5000万円となり、控除期間は13年、控除率は0.7%、最大控除額が455万円。居住年が令和6年から令和7年までの場合、住宅ローン借入限度額は4500万円となり、控除期間は13年、控除率は0.7%、最大控除額が409.5万円となります。また、既存住宅の場合では、居住年が令和4年から令和7年までの場合、住宅ローン借入限度額は3000万円となり、控除期間は10年、控除率は0.7%、最大控除額が210万円です。
3つ目に登録免許税の減額に関しては、新築・未入居の住宅用家屋について、所有権保存登記等に係る税率が一般住宅特例より引き下げられます。所有権保存登記の場合、一般住宅特例の場合0.15%なのに対して、長期優良住宅では0.1%となります。また、所有権移転登記では、一般住宅特例の場合0.3%なのに対して、長期優良住宅では戸建の場合が0.2%、マンションの場合は0.3%となります。令和6年3月31日までに取得した者が対象となります。
4つ目には、不動産取得税も減税となります。令和6年3月31日までに新築された住宅が対象で、新築住宅に係る不動産取得税について、課税標準からの控除額が一般住宅特例より増額されます。一般住宅が1200万円なのに対して、長期優良住宅は1300万円の控除となります。
最後に、地域型住宅グリーン化事業を紹介します。この事業は、長期優良住宅・ZEH・低炭素住宅といった省エネルギー性能等に優れた木造住宅を、新築・購入する場合に対して補助金が交付されるものです。これは、地域木材利用、国の採択を受けた地元中小工務店といった条件を満たしている場合に適用されるものです。長期優良住宅では140万円程度の補助金があります。低炭素住宅においても、90万円程度の補助金があります。
長期優良住宅認定を受けるには、さまざまな手続きが必要となります。ほとんどの場合は依頼した建築業者が手続きを行ってくれますが、概要だけでも知っておいたほうが安心です。
どのような住宅が対象になるのか、ということです。新築戸建はもちろん、増改築でも申請可能で、既存住宅の買取再販、マンションなどの共同住宅でも申請が可能です。
提出する必要書類については、以下のようになります。
1.認定申請書
2.維持保全計画書
維持保全の計画
3.委任状
申請者が他者に手続きを委任する場合、添付
4.確認書又は設計住宅性能評価書
登録住宅性能評価機関で長期使用構造等であることの確認を受けた旨が記載されたもの(写しでも可能)
5.図面等
「図面等」をご確認
6.地図情報サービスの印刷
「札幌市地図情報サービス」により計画敷地の情報を印刷したものを添付
※出力後1か月以内のもの
7.居住環境・災害配慮基準確認書
居住環境・災害配慮基準確認書
8.居住環境基準に適合することを示す図書
該当する場合は、以下の書類を添付
9.災害配慮基準に適合することを示す図書
災害危険区域又は出水のおそれのある区域の場合は、配置図等に、前面道路の中心のレベルと1階床レベルを明示
上記の必要書類の内、図面等については、以下の通りの内容となります。
1.付近見取図
方位、道路及び目標となる地物
2.配置図
縮尺、方位、敷地境界線とその種別、敷地内における建築物の位置、申請に係る建築物と他の建築物との別
3.各階平面図
縮尺、方位、間取り、各室の名称、用途及び寸法、居室の寸法及び階段の寸法
4.用途別床面積表
用途別の床面積
【注意】規模の基準に適合することがわかるよう記載してください。
5.床面積求積図
床面積の求積に必要な建築物の各部分の寸法及び算式
6.立面図(2面以上)
縮尺、外壁及び開口部の位置
7.断面図又は矩計図
縮尺、建築物の高さ、外壁及び屋根の構造、軒の高さ並びに軒及びひさしの出
8.状況調査書
建築物の劣化事象等の状況の調査の結果(増築・改築の認定申請又は建築行為なしの認定申請時にのみ添付)
9.確認済証等
新築又は増改築の時期が分かる書類(建築行為なしの認定申請時にのみ添付)
ご紹介してきたように、札幌市では長期優良住宅に対して、さまざまな優遇制度があります。しかし、制度の概要や認定手続などは専門的で複雑ですから、施工を依頼するハウスメーカーに相談することが必須となります。制度に詳しく、相談しやすいハウスメーカーを選ぶことが重要です。